◆太陽のごとくあいつは◆



美夏は不意に麻美の声の的に目をやる。


そこには…



見覚えのある人物。


忘れたかった思い出の中の人物であった。





『バカ。
何喜んでるんだ。
4番じゃすぐ一日目じゃないか』



『だってぇ~』




間違いなかった。



友枝修二。




2年前、美夏が初恋をあきらめた相手だった。



『ぁ…。』





ふと、横から声がして、我に返った。



『どうしたの?美夏ねぇ。』



晶螺だ。



『ぁ、ぅぅん。なんでもない。

席戻ろ。』




その声が耳に入ったのか、"美夏"という名前を覚えていたのか…

友枝の視線は席のほうへ振り返った美夏の背中へ向いていた。




『………。』



友枝もまた、2年ぶりの再会に驚いた様子だった。





< 57 / 146 >

この作品をシェア

pagetop