◆太陽のごとくあいつは◆
某レストランまでやって来た友枝と美夏。
カチャ…
スプーンをおいて、無意識にため息をつく美夏。
数十分前の部屋での出来事を考えただけで、だるい気持ちになった。
晶螺の唇の感触、口内に侵入してきた舌の暖かさ、力強い腕、そして…
あの切なげな瞳…-------
美夏を見下ろしていたあの何とも言えない瞳が、脳裏に焼きついて離れずにいた。
思わずまたため息がこぼれる。
『どうしたの?元気ないじゃん』
不意に友枝が問いかけてきた。
『ぇ?』
『誘って悪かったかな?』
『ぁっ、ぅぅん!違うのっ!
ここの料理がとにかくおいしくて…っ』
ぁ~っ、もうまじで危ないトコだったんだからぁ!!
ありがとう、友枝さん!!!
美夏の心の叫びが空気中に実体化したかのように、友枝はあの人物の話を始めた。
『……。
君のパートナー、幼なじみだってね。
なかなか血の気が多そうな子だ。昔のオレ見てるみたいだよ』
テラスに優しい風が吹いて、二人の髪をふわりと撫でていった。
『昔…?』
『君と知り合った頃の、オレ』