◆太陽のごとくあいつは◆



コーチたちからの言葉が1ペアづつおくられる。


いちいちこんなことをするのが、この合宿の余計な特色。


晶螺と美夏は3番目である。





1番目の男女二人がコメントをもらっていた。


『あなたたちのプレーはとてもおもしろくて良いものだったわ。』



『2次予選まで残れるでしょう、これは、ぅん』




他のコーチからも良いコメントをもらった二人はお辞儀をして下がった。


2番目の二人が前に出たとき、友枝が1番目のペアに何やら話しかけていた。




が、みんなの注目は都合よく前の2番目のペアに当てられていて、晶螺も美夏も気づいていなかった。





いったい何を話していたのだろうか?







晶螺と美夏の番が来た。


前に出る途中、晶螺がズカズカ前を歩いたので美夏は前へ抜かし、晶螺もムっときて美夏を抜かし…まるで子供のじゃれ合いだった。


みんなが後ろでクスクスと笑っている。



『ほら、ちょっと、笑われちゃってるじゃん!』


美夏は小声で晶螺の腕をひじでつついた。




『ふんっ』



晶螺はいじけた幼児のように口を尖らせていた。



『こンのぉ~…』




二人はまさに険悪モードにあった。



横浜教室のコーチはそんな二人の様子に気づき、頭を抱えた。


おぃおぃ、この二人大丈夫かなぁ~…





< 85 / 146 >

この作品をシェア

pagetop