◆太陽のごとくあいつは◆
コーチたちからの言葉が1ペアづつおくられる。
いちいちこんなことをするのが、この合宿の余計な特色。
晶螺と美夏は3番目である。
1番目の男女二人がコメントをもらっていた。
『あなたたちのプレーはとてもおもしろくて良いものだったわ。』
『2次予選まで残れるでしょう、これは、ぅん』
他のコーチからも良いコメントをもらった二人はお辞儀をして下がった。
2番目の二人が前に出たとき、友枝が1番目のペアに何やら話しかけていた。
が、みんなの注目は都合よく前の2番目のペアに当てられていて、晶螺も美夏も気づいていなかった。
いったい何を話していたのだろうか?
晶螺と美夏の番が来た。
前に出る途中、晶螺がズカズカ前を歩いたので美夏は前へ抜かし、晶螺もムっときて美夏を抜かし…まるで子供のじゃれ合いだった。
みんなが後ろでクスクスと笑っている。
『ほら、ちょっと、笑われちゃってるじゃん!』
美夏は小声で晶螺の腕をひじでつついた。
『ふんっ』
晶螺はいじけた幼児のように口を尖らせていた。
『こンのぉ~…』
二人はまさに険悪モードにあった。
横浜教室のコーチはそんな二人の様子に気づき、頭を抱えた。
おぃおぃ、この二人大丈夫かなぁ~…