◆太陽のごとくあいつは◆



『はぁ、ちょっと微熱があって。』



晶螺は丁寧に答えた。



『ぅわ、ほんと?
明日の2次予選1日目じゃない、大丈夫なの?』



『はぃ。』


『そう、良かった』





コーチが去って、晶螺は汗をタオルで拭い、一人ため息をついた。

すると、すぐ近くで東京教室の女子ペアが話しているのがたまたま耳に入った。




『ぇっ、じゃぁ麻美って友枝修二がパートナーでラッキーじゃない!?
だって、たくさんビーチバレー教室とかジムとか主宰してるし、教えるのも上手いんでしょ!?』



『そうなんだょねぇ…い~な~ぁ!
ウチもあの先生に教えてもらったら、麻美みたいに上手くなれるかなぁ』




『でも、なんで麻美っていつも午前中の練習来ないんだろうね』


『ぁぁ、なんか友枝先生の特別レッスンで、離れたところでネット張ってやってるらしいよ?』



『へぇぇ…やるぅ!』







ふぅん…そうだったのか。


特別レッスン…つか、友枝ってそんなすごぃ実績のあるやつだったのか。






午後の練習を終えた晶螺は、パートナーが隣にいないことをいささか不自然に感じながら
着替えて昼食がてらホ美夏の様子を見ようとホテルの方へ足を進めていた。



すると後ろのほうからコツコツとヒールの走る音がして、


『晶螺く~ん!!待ってぇ!!』



という声が聞こえた。


振り返ると麻美がこちらに走ってきていて、やっと晶螺の隣まで追いつくと息を切らして、苦し紛れに口を開いた。




『はー!!!追いついたぁ!晶螺くんってば足速いんだもーん!』





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