◆太陽のごとくあいつは◆



第一球目から、田辺はミスばかりしていた。




『んだ、あいつ。
1次と全然違うじゃん』


『やる気ねぇのか。でくのぼうみてぇに』



見ているひとがブツブツ言い出して、コートの周りが次第にざわめいてきた。




7-0、8-0とただ時が流れと共に得点は友枝・麻美ペアへ。


それから、菊池がほぼ一人で頑張って7点はとったものの、体力の限界で、




とうとう14-7。




『チェンジコート!』





菊池は田辺に肩を貸し、

『大丈夫!?』




と必死に足をマッサージしてあげたり。






そんな二人を、友枝は見ていた。


『…………』





でも横にいた麻美はわかってしまっていた。



あの田辺って人はやる気がないんじゃなくて、動けないんだってことが。


彼の手足の筋肉は完全に硬直し、体が思うように動かないという彼の様子が、麻美にはわかった。




先生…??


まさか、まさかここまではやらないよね…偶然偶然。




と、あえて隣にいる友枝の表情は見なかった。





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