◆太陽のごとくあいつは◆
『おめでとー麻美♪』
『楽勝だったねぇ、随分』
『勝算は!?』
麻美の周りに女子が群がって、話している。
『そうだなァ~…この山口裕香と藤木美奈のペアが強敵かもぉ』
麻美はトーナメント表の、裕香・美奈ペアの名前を指差した。
『ぇ?晶螺くんのペアは?』
『ふっ、どぉかなぁ~?
晶螺くんはともかく、オネエサマがねぇ。』
晶螺が表を見に小屋の近くに来たのを麻美は横目で確認して、わざと声を大きくして言った。
『今、私の先生と随分ご親密でさぁ。
大会なんかどーでもいいって感じなの。
昨夜だって、私見ちゃったんだ、濃厚なラブシーン♪』
もちろんそれは晶螺の耳に聞こえていた。
晶螺はこぶしを握り締めた。
麻美は更に続けた。
『でもあくまで私たち、合宿でこの大会メインで来てるのにさぁ~
オネエサマったら、練習はさぼるわ、打ち合わせには遅れるわでぇ…
まったく晶螺くんも大変な人パートナーにしちゃったよねぇ~』
麻美が留めにもう一度晶螺のほうをチラ見すると、晶螺は小屋に背を向けて歩き出していた。
もういい加減オネエサマのこと諦めてくれなくちゃ。
こっちだって身が持たないわ。
麻美は晶螺の背中を見つめながら思った。