天国に近い場所
「…昨日も言ったけど」

「?」


龍美は私を抱えながら、ボソッと耳元で言った。






「絶対に俺から離れんなよ」


龍美の声は真剣そのものだった。

いつものどこかおちゃらけた雰囲気の龍美じゃない。

眉間にシワを寄せて、真っすぐと前を見つめていた。





「…うん」


素直に返事をした。

真剣過ぎる龍美の表情を目の前にしたら、そう言うしかなかったから…





「約束な」

「うん‥」






この時の約束を、

忘れてた訳じゃなかったのに…


どうして、あんなことになってしまったんだろう…



私はきっと、

まだまだこの世界を甘く見ていたんだ…


この時、龍美が言っていた事の重大さを、全くわかっていなかった…
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