天国に近い場所
「だけどある日。この国の住人に包丁で刺されて…死んだ。世話になってばっかで、お礼も言えないまま‥」
龍美は悲しい顔をして言った。
そのお世話になった人を、思い出しているみたいだった…
「だから俺は…しばらく喧嘩に明け暮れた。そんなくだらねぇ事したくなかったけど、もう…誰かが死ぬのなんて見たくねぇ。だから自分の名前を広めたんだ……」
龍美は私の手を力強く握った。
龍美…ごめんね。
私も手を握り返し、家までの道を二人で歩いた…
……………
「志乃どこ行ってたのよ!?心配したんだよ!」
家に着くなり夏莉が私に抱き着き、半泣きしている。