天国に近い場所
健太郎くんの腕には、

あの世界で私と龍美が誕生日にプレゼントした、腕時計がついていた。



「ああ、これ?しのおねぇちゃんから誕生日にもらったやつ♪ボクの宝物なんだ!」


健太郎くんは口にご飯粒をつけて、ニコッと笑った。




かわいいな…


私は健太郎くんに抱き着き、頭に頬をすりすりと擦り付ける。






「こら!その時計は、俺と志乃からのプレゼントだろーが!」

「違うもーん…しのおねぇちゃんだけだもーん♪」


不満そうにそう言った龍美に、健太郎くんはプイッと顔を背けた。
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