聖夜の約束
「なんかそっけないけど、鳥居さんの事を気にしている?」


急須にお茶の葉を入れる夏姫は顔を上げた。


「そうかもしれません あたしが長谷川さんをとった事になっているみたいで・・・」


「そうか~ 迷惑かけてごめんね 昨日鳥居さんとは話がついたのに」


長谷川の指が顔を上げた夏姫の黒ぶちのメガネに手が触れた。


ビクッ


夏姫はメガネを取られないように頭をのけぞらせた。


「取らないでください 見えなくなります・・・」


(早く行って欲しい・・・)


「そんなに目が悪いんだ もう少し可愛いタイプのメガネをプレゼントさせてくれる?もっと可愛くなるよ」


夏姫の目をじっと見る長谷川にあいまいな笑みを浮かべた。


その時、長谷川のポケットに入っていた携帯が鳴った。


「じゃあ、後でメールで送るから」


そう言って給湯室から出て言った。


夏姫は彼が出て行ったのを見るとホッと安堵した。


(もう心臓に悪いよ・・・鳥居さんと話をつけたって言っていたけど・・・話をつけた?付き合っていないのなら話をつける必要がないよね?・・・やっぱり2人は付き合ってたんだ だから周りの女子社員もあたしの事を冷たい目で見たんだ・・・・)


夏姫は深いため息を吐く。


そしてテキパキとお茶を入れて給湯室を出た。




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