聖夜の約束
ビルを出るとレイが夏姫の手を握った。


「連れて行ってくれるんでしょ?」


レイの言葉に夏姫が頷く。


「う、うん まずはおもちゃ屋さんに行ってからね」


「おもちゃ屋?」


きょとんとした顔になる。




「レイくんがいてくれてよかった♪」


おもちゃをたくさん買ったがとてもじゃないけど自分ひとりでは運べなかった。


今、レイの両腕には紙袋がかかり胸にもう一つ紙袋を抱えていた。


「ちょっとすごいんだけど・・・・なんでこんなに買うの?」


「ん?子供がたくさんいるの」


にっこり微笑む夏姫も両腕に紙袋を抱えている。


(子供がたくさんいる?)


「ここから近いの?」


夏姫がどこへ行こうとしているのかまったくわからない。


「もう少し」


孤児院がある駅の近くのおもちゃ屋さんで買ってよかった。


自分でもこんなに買ってしまうとは思っても見なかった。


一つ一つがハイテクなゲーム機ではないけれど物を滅多に買ってはもらえない子供たちは喜んでくれるだろう。


ボーナスが入ったしお世話になった園長先生に孝行したかった。


子供達の笑顔が目に浮かぶ。
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