聖夜の約束
「あたし、行けないからっ!」


行かないのではなくて行けないという言葉を夏姫は口にしていた。


レイが振り返る。


「来なかったら夏姫さんをあきらめるよ 夏姫さん、今までありがとう 煩わせてごめん」


レイはただそれだけを言って行ってしまった。




そして・・・階段を降りる靴の音だけ響かせてレイは去って行った。



「レイ・・くん・・」

突然、風のように去ってしまった。


あっという間の出来事に夏姫は唖然とした。


(さっきまで朝食を囲んでいたのに・・・)


すでにレイの姿など見えない道を夏姫は寒さに気づくまでしばらく立っていた。



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