聖夜の約束
レイは玄関の鍵をかけ終えた夏姫の手を握ると階段を降り始めた。


「ど、どこへ行くの?」


夏姫の歩幅に合わせて歩くレイに聞いてみる。



「ん~ まだ決めていないけど 普通のデートがしたい」


「普通のデート?」


経験がないからその普通がわからない夏姫だ。



「そう、映画を見たり、公園を散歩したり、食事をしたり」


レイに言われてなるほどと夏姫は頷いた。


「公園の散歩はいくらなんでも寒いよ」


夏姫はぶるっと震えた。


そうでなくても今日は雪が降りそうな空模様なのだ。



「そうだね 僕も寒いのは苦手なんだ」


夏姫の手を掴むと自分のポケットに入れてしまった。


「レ、レイくん?」


あっという間の出来事に夏姫は慌てた。


「この方が温かいでしょ?」


美少年の微笑みには勝てない。


夏姫は仕方なくそのままにした。


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