聖夜の約束
隣でレイくんは大笑いしている。



あたしたちはありきたりだけど映画を見に来た。



レイの謝る姿に夏姫は折れたのだ。



一日付き合ってくれたら消えるからと言ったレイの言葉も気になる。



レイと過ごすうちに消えて欲しいと思っていない事に気づく。



恋心なんてありえないけどいなくなったら寂しい。



映画を見ながらあたしの手はレイに握られている。



まるで恋人同士みたいだ。



こんなに年上の恋人なんてレイにはふさわしくないけど。




約二時間の映画を見て外に出ると再びぶるっと夏姫は震えた。



「寒いの?夏姫さん」



「ん?うん 少し寒い」



目の奥で鈍い痛みを感じ始めていた。



レイは夏姫の顔を覗き込んだ。


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