聖夜の約束
大きなガラスの扉を抜けるとレイがさっと夏姫の手を握った。


握られて嫌じゃない。


レイの容姿はロビーにいた時から注目されている。


会社を出た後もそうだ。


地味なあたしとレイが並ぶとこっけいに見える。


「ちょっと寄り道して行こうよ」


レイが黙り込んでいる夏姫に言う。


返事をしないあたしの顔をレイが覗き込む。


「どうしたの?上の空だね?何かあった?」


「なにもないよ どこへ行くの?」


「ちょっとぶらつきたいだけ」


「・・・うん」


(もしかしてずっとアパートにいたのかな・・・気分転換に街を歩きたいのかも)



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