聖夜の約束
「自分の殻に閉じこもらないで・・・」


レイは顔を傾けて夏姫の唇を啄ばむようにキスをして舌で開かせる。


レイの巧みなキスに夏姫も我を忘れてキスを返していた。


レイの唇が離れると夏姫はハッと我に返った。


(こ、こんな人がたくさんいる所で何をするのっ)


周りのカップルは自分たちに忙しく見られていなかった事に安堵した。


「レイくんっ どうしてこんな所でキスをするのっ!」


「クスッ 誰も見ていないよ 可愛かったよ 夏姫さん」


イルミネーションの灯りだけでも夏姫の顔が赤くなっているのがわかる。


「本当に23歳?可愛すぎるよ」


「レイくんっ そうよ あたしは君より5歳も年上なのっ だからからかわないで」


「からかってなんかいないよ?」


レイの長い指が夏姫の後ろで一つに留めたバレッタを外す。


「きれいな髪をまとめるなんてもったいないよ」


「や、やめて・・・」


肩までの黒髪がパサッと頬にかかる。


レイはそれの髪を指で優しく払う。


「夏姫さんを見ていると守ってあげたくなるんだ」


「レイ・・くん・・・」


真剣な表情そのものに夏姫は戸惑った顔になった。


「夏姫さん 好きだ」

< 94 / 142 >

この作品をシェア

pagetop