聖夜の約束
夏姫はレイと手をつないだままアパートに戻った。


あの告白の後、ファミレスに寄ってから今に至る。


夏姫はレイに好きと言われて何も言えないままだった。


夏姫に拒絶されなかったレイは上機嫌な様子でお風呂に入りに行った。


「あたし何してるんだろ・・・あたしが好きなのは・・・長谷川さんのはず」


レイと長谷川の間で気持ちが揺れ動いてる。


（長谷川さんは入社した時から憧れていた人）


夏姫は深いため息を何度も吐いてレイがお風呂から上がってくるまでぼんやりしていた。


「あ・・・そうだ・・」


夏姫はさっきレイがコーヒーを飲みたいと言っていたのを思い出してお湯を沸かしに台所へ立った。


「長谷川さん・・・鳥居さんと本当に何でもないのかな・・・」


ボソッと口について出た。


（あんなにきれいな人よりあたしが好きなんてありえない。もしかしてからかわれているのかな）


やかんに水を入れてガス台に置くと火をつけた。


「やっぱり鳥居さんとなんでもないって言うのは無理があるよね」


再びため息が出た時、長い腕が腰に回った。

< 95 / 142 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop