聖夜の約束
「レ、レイくんっ!」


石鹸のさわやかな香りと共に温まった体温を感じた。


(同じ石鹸を使っているのにこの爽やかさは何だろう)


「お先に 夏姫さん、身体冷たいね 早く入ってきて」


そう言うもののレイの腕が離れない。


「そうだね 入ってくる」


レイの腕を解こうとすると頬にレイの唇を感じた。


「頬も冷たい・・・氷のようだね」


レイに解かれたままの黒髪に唇をつけられて夏姫は身動きが出来ない。


「だからっ 今入ってくる」


そう言ってレイの腕を振りほどこうともがく。


「力ないね?こんなんじゃ、襲われても抵抗できないよ」


「もうっ!レイくんが力入れてるからでしょっ 早く離して」


「OK」


もがいた身体は不意に離されてよろけた。


「もうっ!」


ぷりぷりと怒ってお風呂場へ向かってしまった後姿をレイは見て口元に笑みを浮かべていた。


(こんな時間が幸せに思えるんだ・・・夏姫さん わかってる?)

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