ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
No,4 A general hospital
──ピッ──ピッ──
機械音が病室に響く。
ベッドに眠るのは、愛村。
「沙南ちゃん、大丈夫?」
隣でユウがあたしを心配する。
「大丈夫、大丈夫だから……」
あたしの脳内は何回もあの光景がフラッシュバックされる。
───────────
「ぐぁ……っ!!」
「愛村!!」
キッと直哉を睨みつけると、奴は血に染まったナイフをひらひらとさせた。
「じゃあね、名ばかりのAngel」
不敵な笑みを浮かべて直哉は去っていった。
……あんな奴じゃなかったのに。
そんな思いが込み上げる。
「おいナツ平気か!!?」
「ナツ!!」
智輝の声で正気に戻ったあたしは、恐る恐る愛村を見た。
「愛村ぁ…っ!!」
泣きたくなった。
だって…。
痛みに歪んでいた顔が、
あたしに微笑んだから。