ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~


パチッと目を覚ますと、白い天井が見えた。


…どこ…?ここ…。



ガバッ!と起き上がると、キーンと頭が痛くなった。


病院……?



昨日の記憶があんまりない…。

愛村は…?

愛村はどうなったの?



立ち上がるとまだクラクラしたけれど、病室へと向かった。





病室には愛村のネームプレートがまだあった。



少しだけ…。

無事を確認させて……。


面会謝絶のドアを開き、中には入らずに、ベッドを眺めた。



「あなたが、沙南ちゃん?」

「…っ!?」


振り返って、帰ろうとした瞬間、後ろから誰かに話しかけられた。


目を合わせると、女の人が立っていた。




「あ…そうですが…」


「よかったら、入って?」


「あの、あなたは……?」


「ナツの母です」


優しそうな顔。

笑った顔は愛村ととてもよく似ていた。



「いいんですか…?」


「えぇ、聞いたところによると、あなた毎日来てるそうじゃない?」


「…すみません……」


「いいのよ。ナツ彼女?」


「…………違います」



あたしは、ただの友達なの。

だけど、他人じゃないことが、何よりもあたしには嬉しいの。







< 126 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop