ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
パチッと目を覚ますと、白い天井が見えた。
…どこ…?ここ…。
ガバッ!と起き上がると、キーンと頭が痛くなった。
病院……?
昨日の記憶があんまりない…。
愛村は…?
愛村はどうなったの?
立ち上がるとまだクラクラしたけれど、病室へと向かった。
病室には愛村のネームプレートがまだあった。
少しだけ…。
無事を確認させて……。
面会謝絶のドアを開き、中には入らずに、ベッドを眺めた。
「あなたが、沙南ちゃん?」
「…っ!?」
振り返って、帰ろうとした瞬間、後ろから誰かに話しかけられた。
目を合わせると、女の人が立っていた。
「あ…そうですが…」
「よかったら、入って?」
「あの、あなたは……?」
「ナツの母です」
優しそうな顔。
笑った顔は愛村ととてもよく似ていた。
「いいんですか…?」
「えぇ、聞いたところによると、あなた毎日来てるそうじゃない?」
「…すみません……」
「いいのよ。ナツ彼女?」
「…………違います」
あたしは、ただの友達なの。
だけど、他人じゃないことが、何よりもあたしには嬉しいの。