ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
病室に入ると、昨日のような大きな器具は取り外されていて、点滴と呼吸器だけが残っていた。
「もう、大丈夫だそうよ。昨日、意識が戻ってね」
「そうですか…よかった…」
そっと、愛村の近くにかけよる。久しぶりに見た顔。
前見たときより、元気そうだった。
はぁ…はぁ…と愛村の呼吸に合わせて呼吸器が曇る。
それを見て、顔がほころんだ。
その呼吸こそが、愛村の生きている何よりの証拠だったから。
すうっと愛村の瞳が開かれる。
「…あい、むら?」
あたしの声に反応した愛村は左手を出してきた。
その手をあたしはぎゅっとつかむ。
「あたしがわかる?」
愛村はあたしの問いかけに静かに微笑んだ。
「…さ…な…」
小さく呟いて、また愛村は眠りに入った。