ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
ちらり、と愛村の顔を見ると、愛村はじーっとあたしを見つめてて、目があうとニコッと微笑んだ。
「……っ」
やばい、ドキドキが止まらない。
頭がくらくらする。
その後、“ここにおいで”とでも言わんばかりに、自分のベッドの隣にあるいすを指差した。
本当はダッシュで行きたい気分だけど、
走ることが出来ないから、またぺたぺたとあたしはそのいすに向かって歩く。
じいーっと、お互いがお互いを見つめあっていた。
ほんの数秒だったけど、
あたしには時が止まった気がした。
「心配、かけたんだって?」
「そらそうでしょ。刺された人間を心配しない友達がどこにいるのさ」
愛村は確かに目の前にいるのに。
なんだか現実味がなかった。
そう思うと、なんだか目をあわせられなくなって、うつむく。
「俺、お前のこと友達だって思ったこと無いけど」
「……っ!?」
はっきりした声で、愛村はあたしにそう言った。
“友達だって思ったこと無い”
言葉が、深く突き刺さって、ぐるぐると頭の中を支配した。