ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
ざぁぁぁと優しい風が吹いた。
「…えっ?」
「俺のそばに、いてほしい」
「あたし、友達じゃないんでしょ」
「あぁ、そんな風に思ったことねぇな」
「じゃぁ…なんで…っ!」
「………好きだから、ずっと」
「……っ」
「友達なんて、思えなかった。1人の女の子として、ずっとずっとお前が好きだった」
「~~っ!!」
ぽろっと、涙が再び流れた。
「……急で悪ぃけど、答え、聞かせてくれる?」
答え?
そんなの決まってるじゃん。
「あたしで、よかっ、たら」
「やった!」
愛村はぐいっと自分のほうにあたしを引き寄せた。
あたしの視界には、サイドテーブルにちょこんと飾られている、バナナが目に入った。
そんなバナナ……
あ、何でこのタイミングで駄洒落言ったんだろ
そうだ。予想外の奴から告白されたからだ……。
「あたし、彼、女?」
少しだけ、ユメなんじゃないかって思って、呟くように聞いてみた。
「そ。沙南は俺のカノジョ」