ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
『……もしもし』
「〜〜っ」
現実に引き戻された気分だった。
"夢だったらよかったのに"
「…ふ……っうぅ……」
さっきまで微塵も流れる気配の無かった涙が、
大量に頬を伝う。
『……沙南?』
「……ごめん……あとで………」
あたしは電話を切った。
愛村……
逃げてちゃ何も変わらないよね。
何かが辛くて逃げたとしても、立ち向かわないといけない日は……
必ず来てしまうんだね。
「……珠梨……ツバサ……」
だったら
逃げないよ。
今度こそ
向き合うよ。