ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
「……ねぇ」
ふと気になっていたことを思い出した。
「ナツはなんで、サタンって呼ばれてるの?」
「「………………」」
さらっと愛村の下の名前を言ったことはどうかさらっと受け流してほしい。
「…………あいつ、昔はさ。笑わねー奴だったんだよ」
ナツが…?
始終お腹を抱えながら笑うあいつが……?
「…沙南ちゃんには、本当に感謝してるんだ」
「………へ?あたし!?」
「「ありがとう」」
笑顔でお礼を言われて赤面する。
「…あた……あたし何もしてな……………え?」
サァと血の気が引くのがわかった。
「…沙南ちゃん?」
周りの音が聞こえなくて、
この瞬間だけ
一人ぼっちだと感じた。
瞳に写ったのは
病院服を来た父親だった。
「………な………んで?」