ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
――――…
「沙南、元気ないね?」
「…え?」
ハッとして顔を上げると、目の前に心配そうな怜奈の顔があった。
「あぁ…大丈夫」
ニコッと笑って見せると、彼女はさらに不安そうな顔になった。
「…ナツやんに相談しようかなぁ」
ドクン…
「や…めて!」
「…沙南?」
ドクン…ドクン…
あたし、どうしちゃったの?
ナツの名前を聞いただけで、心がザワっと波打った。
ドッドッドッ…
心臓が高鳴って、止まらない…。
「ヒュッ…」
「沙南!?しっかりして!!」
い…息が…
できな………
「…沙南―――」
意識が無くなるほんの少し手前、愛しい声が聞こえた気がした。