ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
「…落ち着いたか?」
「…うん」
どのくらいの時間、泣いていたのかわからない。
立ち上がったときに、足元にあったカバンを蹴ってしまった。
カサ…
紙のこすれる音がして、目を下に向けた。
カバンのポケットから玲奈からもらった手紙が見えた。
「……」
無言でソレを拾い上げて、もう一度読んだ。
そうだ、
聞かなくちゃ。
逃げてばかりいられないって、
思ってたのに。
あたしの感情は揺れ動くばかり。
「…ナツ…」
「ん?」
「一緒に、来て…」
「いいよ」
ニコリと笑ったナツに、ほんの少しだけ口元が緩んだ。
ナツの笑顔は、
あたしを安心させてくれるんだよ。