ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
“がんばれ”
小さな声で、ナツが言った。
がんばれ…。
何でかわからないけど、その一言で勇気がわいてきた気がする。
「…お父さん…」
本当、ナツは不思議だね?
ナツはすごいね?
「病気なの…?」
最後のほうは震えてしまったけれど、核心の突く言葉を投げた。
「……違うよ」
「っ!!」
目を見開いて、お父さんを見た。
その顔は優しく微笑んでいた。
「ほん…と?」
「あぁ…。軽い胃潰瘍だったけど、もう治ったから。心配ないよ」
もう治った…
心配ない……
その言葉を聞いたあたしは、安心して腰を抜かしてしまった。
「よかったぁ…っ」