ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
「……ありマス。けど」
「うん、けど?」
「誰かまでは、覚えてない…」
「……はぁ…」
沙南ちんは大きなため息をついて、ナツを睨んだ。
「覚えてないって…。もういいよ」
「…沙南!」
「知らない、ナツなんか!」
ぷいっと顔をそらした沙南ちん。ナツやんは、捨てられた子犬のように、悲しそうで、でもその姿はとても可愛かった。
「…ちょ、ちょっと!痴話げんかしないでよ」
「してないわよ!」
「あなた、今の自分の状況がわかってるの?」
「は?」
女がそう言うから、思わず俺は周りを見渡した。
Red Tailのメンバーは談笑していて、女の率いる野郎達は、退屈そうにこちらを睨んでいた。