ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~




「…あ…あなた…っ!裏切るの!?」


「…裏切るも何も、誰もてめぇの味方なんかしてねぇっつーの」


「………は?」



そいつは、いつだかナツやんを刺して、俺をボコボコにした奴だった。



何でこいつがここにいんだよ!?


「…みんな、ある目的の為に…ここに集まった」


「…どういう意味よ!」


「……ちょ、直也!?アンタ何やってんの?」


「…ははっ、いーから(笑)沙南サンは黙ってて」



わなわなと震える沙南ちんをほって、話はちゃくちゃくと進む。



「……まず一つ言っておくが、誰もお前をAngelだと思っていない」


「…え?」


「…お前みたいな三流のありきたりのセリフしか吐かない奴を誰が信じんだよ?」


「………」



「…Angelは俺たちにとって、どれほどすごい人か、お前は何一つわかっちゃいない」



………こいつ、こんな奴だったか?



こんなに熱く何かを語る奴だったか?

俺の知ってるこいつは、もっと冷たくて、氷のような目をしてるハズ……。




「………直也?」


ぽつりと沙南ちんが心配そうに呟く。


さっきからコロコロと表情が変わる。


君と出会って、ナツやんは本当に救われたと思う。



だって今は、君だけの、優しい微笑みが

俺にも向けられるようになったから。




「……Angelは、アコガレの存在。近くに感じても見たモノはごくわずか」



もしかして

こいつも?



沙南ちんによって変えられたのか?

< 316 / 328 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop