ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
「沙南ちゃんは、どうして特待生になったの?」
「……内緒。っていいたいけど、別にたいした事ないから言うわ。うち、お金ないのよ。」
「そうなんだ…」
聞いてよかったのかな、というような表情。
あたしは別にそんな風に思って欲しいから言ったんじゃないんだけど、なあ。
なんだか同情の目が向けられてる気がして、あたしは歩き出した。
「せんせ」
いすにふんぞりかえって、あたしを見る先生。
どつきたいわね。
「おーどうした、鹿波ぃ?」
「気分が悪いので屋上行ってきます」
「屋上!?普通は保健室だ、鹿波!!」
「人間新鮮な空気を吸えば、気分はよくなるものです、では」
「鹿波!?」
なんだかな…
あたし、こんなんで取り乱すはずないのに。
なんでだろう。
愛村の発する言葉に、表情に、いちいち動揺してしまう。
どうしちゃったんだろ、あたし。