ナツ色の恋~最強男が愛した伝説の女~
放課後、あたしは愛村に連れられて倉庫に来た。
「沙南ちゃん」
「ん」
どうやらここが、本拠地らしい。
「Angelってどんな人なの、って聞いてみなよ」
「……」
なんじゃそりゃ。
そう聞かれて不良たちは答えるのか?
「おっす!」
不思議そうな顔をしているあたしを放って、愛村は片手を上げてみんなに挨拶をする。
すると、たむろしていた怖い形相の男の子達が一斉に立って、
「「ちゃーっす!!」」
挨拶を返していた。
「……ふーん」
一応、尊敬はされてるみたいね。
「何?どしたの?笑」
「や、別に…ね」
たとえ世の中でクズと呼ばれている人も、
権力を持つ人も、
みんな人をちゃんと見てる。
いい意味でも、悪い意味でも。
人は尊敬できる人には、ちゃんとした対応をする、
けれど、尊敬できなければ、どうでもいい対応をする。
昔、母が言っていた。
人に本当に尊ばれる存在は、決して偉い人だけではないと。
そういう人の周りには、いつも笑顔が溢れているだって、教えてくれた。
そして、その人はどんな人に対しても、偏見にとらわれないと。