モノクロ。
窓の外を見ると、女子に囲まれた翔夜。
大牙よりも多い人数の女子が周りにいるのは、愛想がいいからかもしれない。
あたしは翔夜が来る前に教室を出ようとして廊下に出ると、丁度翔夜も教室に入るところで、
「おはよ、真依。どこ行くんだよ。」
「…おはよ!トイレ行くから。」
笑顔で挨拶されたら、返さないなんて選択肢はない。
「大牙と玲亜は来てねぇの?星羅ちゃんは?」
「大牙と星羅は屋上で今日はサボるって。玲亜は…知らない。」
「そっか。」
玲亜がいないのを聞いて、翔夜が寂しそうな表情をしてるのは、気のせいかもしれない。
翔夜は女子に引っ張られて席につく。
"あのコ誰?"
"彼女?"
ヒソヒソ声は丸聞こえ。
その声を背中に、トイレに向かう。
バタバタと後ろから聞こえる足音。振り返ると止む気配。
…トイレ行こ。
いやでもダメだよ、トイレってリンチされる場所じゃん!?
一人になっちゃダメかも!?
あたしは走って屋上に向かう。
間違いなくあたしは、翔夜と大牙といるから…リンチされる!!
予測は確信に変わる。
期待も不安へ変わる。
階段を一気に駆け上がって、屋上の扉を勢いよく開ける。
眩しい光と共に映し出される光景。
星羅の後ろ姿。その肩は小刻みに震えてて。
そこに大牙はいない。