たいよう
あれから、そらの笑顔、見てないよ。
「ちょっとあたし、購買行ってくるね!」
あたし達を気づかってか、満南がそういって席を立った。
「さーお」
「紗愛もそらも、未練タラタラ。それも、嫌いなら外せばいいでしょ」
そういって、胸元にあるチェーンに通された指輪を触った。
あの日のリング。
長めのチェーンにして、ブラウスで指輪が隠れるようにしてたのに。
「分かってる…けど」
「外せない?」
優の言葉に静かに頷いた。
どうしても一人になるとき、寝るときとか、この指輪がなかったら、と考えるとゾッとする。
あの幸せだった数分と、そらの温もりが思い出されるから、一人じゃないって思える。
言わば、この指輪はあたしの精神安定剤だった。