たいよう
「優」
「ごめん」
いっぱい、いっぱい、迷惑かけてるね。
「紗愛、ほら、泣かないの」
ぎゅっと、抱き締めてくれた。
優、あったかいよ。
なんでか、お母さんを思い出していた。
優、お母さんみたい、って言ったら、失礼な、お姉さまと呼びなさい、とこづかれた。
そんなやりとりが、あったかくて、また泣けた。
泣き虫なんだからーって、また優が優しく包み込んでくれた。
今度は、お姉ちゃんみたい、って言ったら、こんな手のかかる妹いらないよ、って小突かれた。
本当はあたしがお姉ちゃんなのにね。優は妹なのにね。双子だけど。
「紗愛、あのさ」
遠慮がちに、優が言った。
「おじさん、もう荒れてないんでしょ?」
あたしは小さく頷いた。
一言もそんなこと言ってないのに、なんで優が知ってるんだろう、って思ったけれど。
「そらに、話したげて」
そっちの言葉がどん、と頭を支配されたから、すっかり忘れてしまった。