たいよう
「終わってるようには、見えないけどな」
終わってるなんて、俺も思いたくねーよ。でも、終わってる、だろ?
「二人して逃げ回ってどうすんだよ」
逃げる?
何から?
航平の言ってる意味がさっぱり分からない。
「何かさーちゃんに、メッセージおくれよ。いいチャンスだろ」
いいチャンスもなにも、俺はフラれた方なんだ。今更何なんだよ。
「忘れられないんだろ」
航平のいつも以上に低い声におれはしぶしぶ頷いた。
「舜から聞いた。もう合コン行ってないんだってな」
舜のヤツ。また余計なことを。
後で蹴り飛ばしてやろう。
「こないだのクラス会、さーちゃんと帰ったんだろ?舜がイロイロ俺に聞いてきたよ」
「あれは、」
「優ちゃんがさーちゃん送れって言ったからって?そんなの帰り俺でも呼べばいいし、塚本さんが一緒だったろ」
俺には航平に返す言葉はなかった。いつもなら形勢は逆なのに。どう返せばいいか、分からない。