たいよう


誰だ、ミサキって。
記憶の糸を辿るが、記憶の片鱗にさえもふれない。




全く思い出せなくて困ってる俺をみて、野郎は笑った。そしていいやがった。その子のことホントに好きなんだね、と。何が分かるっていいかえしたかったけど、出来なかった。



例え拒絶されても、俺は紗愛の事が大好きなんだと思う。それだけは事実だ。



「ミスターコンテストのインタビューで、こんな謎な発言するの、航と水瀬くんくらいだよ」



おもしろいけどね、と野郎は付け加えた。でも、普通はここまで選ばれたら、ミスター星陵になりたいからさ、こんな発言しないよ。と苦笑した。





「水瀬くんの恋、実るといいな」



そういうこといわれると、なんだか恥ずかしくて、ただ、あぁ、と反応するしかできなかった。




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