たいよう
紗愛side
「2年3組の結成を祝ってー」
「乾杯!!」
クラスメートの誰かの家がお好み焼きやさんで、そこを貸しきってのクラス会だった。
高2が始まってもう2週間が経とうとしていた。だけどあたしはクラスメートの殆どの顔と名前を一致出来ていなかった。
授業以外、優架のクラスへ逃げ込んでいた。幸いにも高2にもなると選択科目が増えて、クラスで授業受ける科目も減っていた。
多分このクラス会にも、全員参加、じゃなかったら参加しなかった。
「さーちゃんさ、何でこのクラス会、拒否ってたの?」
「いっつも優架んトコいってるし、このクラス、嫌い?」
去年一緒だった子達が気遣うように声をかけてくれる。あたしは黙って首を横に振った。
嫌いなんじゃない。
ただ、逃げてるだけ。
この状況から、
そして自分の気持ちから。
上手く言い訳が出来なくて、あたしは黙ってしまった。
「紗愛はちゃんと来たんだからいいじゃん。ほら、食べなよ!」
「う、うん!」
優架も含めていつも一緒にいるもう一人の親友、満南があたしの気持ちを察してくれたのだろう。
このままずっと黙ったまんまで、空気が固まるところだった。
満南の方を向くと、大丈夫、というように頷いてくれた。
このクラスで一応やっていけてるのも満南のおかげであることは間違いなかった。