たいよう
顔を上げた瞬間、ぱっと明るい笑顔の女の子と目があった。
俺は、何も言えなかった。
ホントに、何もいえなかった。
多分、一目惚れだったのだと思う。何でかは分からない。
ただ、太陽みたいな笑顔の子だな、って思った。
「あ、水瀬、くん?」
「あ、あぁ」
「眠いところ、おこしちゃってごめんね?」
困ったような顔で俺に謝って今じゃなくてよかったのにーと航平にぶつぶつ文句を言っていた。
「あ、別に気にしなくていーから…えっと…」
「つづき、さお、です」
俺が言いたい事を理解したのかそう都築さんは言ってにっこり笑った。
「えっとね、漢字で書くとね、」
「はい」
と俺は都築さんにシャーペンを渡していた。ここに書いて、と出しっぱなしだったプリントを差し出した。
ありがとう、とそうニコッと笑ってプリントの上にさらさらっと書いた。綺麗な字だな、とそんな事を考えていた。
『都築紗愛』
「読めないでしょ?」
そういってニコッと笑う都築さんが、可愛いな、って思った。