たいよう

「あ、れ？そらひろ？……え、でも航平はたかひろ…って…」




と机の上に山積みにされて出しっぱにされていた教科書に書かれていた俺の名前を見て、必死に読もうとしていた都築さんの姿があった。




「たかひろ」




俺がボソッと呟くと、彼女はぱあっと顔を輝かせて



「たかひろくんかーいい名前だね」



そう言ってくれた。『空紘』なんて誰も一発で読んでくれないし、俺はこの名前が嫌いだった。






でもな、紗愛。
この時紗愛に
『いい名前だね』
って言われて、この名前が好きになったんだ。読みにくい名前だから、名前で話が出来て、よかったって思ったんだよ。