たいよう
紗愛side
「やっぱ都会だねー」
「そりゃ、地元ぐらい田舎なトコで県大会なんかやったらビックリでしょ」
あたしの言葉にすかさず優のツッコミが入る。
沢山走るバスに、本数の多い電車。それに地下鉄。普段田舎に住むあたしには新鮮だった。
たまに一番近くの街に遊びにいくけど、こんなに都会じゃないし。いつもあの街が都会だな、って思ってたのが間違いだったな、と気づく。
季節は、春から夏へと変わり、そらの応援に優と来ていた。今日はそらの陸上の県大会。お母さんに無理いって交通費だしてもらってやってきた。
「すごいねーそらはこんなトコで走るんだー」
陸上はやってないけど、春に応援に言った地区の大会があった競技場よりはるかに立派な競技場だということは分かる。