たいよう
「紗愛、…何、眉間にシワを寄せてんだよ」
肩に誰かの手が置かれたと思うとよく知っている声が聞こえてきた。
優のほうをちらっと見たら、ほらね、とでも言いたげな顔。
「そら、余裕じゃん」
言わなきゃいけない事を思い出して、あたしは、にっこり笑って言った。
「そりゃ余裕だろー決戦は次の決勝だよ」
「だね」
いつもの余裕なそらがいた。
「だろ」
うん、そらはこのぐらい余裕があって、そらだ。
「紗愛さ、決勝終わったら、話したいこと、あるから」
「あーうん」
「だから、もう一回、ここで見てて?」
「そらが見るなって言っても見るし!」
「おう」
そらの決勝が楽しみで、それ以上にそらの話が楽しみだった。あたしの心はウキウキしていて、そらが何を話してくれる話を想像していた。