たいよう
こわかった。
そらに会うことが。
この間みたいに、また、封印してた想いが溢れるんじゃないかって。
無意識のうちに、ネックレスの指輪をぎゅっ、とにぎっていた。
それが、そらを過去に出来てない、そんなことにも気づかずに。
ただ、ぎゅっと。
握ったまま、立っていた。
活気に満ちた競技場の中で一人、別世界にいる、そんな感じだった。
「紗愛」
「…あ、ヒロ」
「大丈夫かよ?」
情けないことに、やっぱり助けてくれたのは1つ下の弟。
「…うん」
「圭斗、行っちゃったもんな。いきなりたかにぃにダイブして『一位とって!』だもんな。俺もビックリしたし」
あたしのうんが、嘘であることに、ヒロは気づいているだろう。それでも気づかないふりをしてくれているヒロに、あたしは甘えた。
「ふとみたら、紗愛、固まってるしさ」
「ごめん、ごめんね。迷惑かけて」
「紗愛だし」
「どーいう意味よ」
「そのまんま」
「…。圭斗は?迷惑かけてない?」
「スルーしただろ。圭斗は、俺らんトコいるよ。凌とか、菓子与えてたけど」