爆暴走
亜希は、一人で病室へ入っていった。



俺と壱は外。


「んなぁ…」


壱が怪訝そうに聞いてくる。


「何だ?」


「亜希の親父の事…何で。」



あぁ、『修治さん』って漏らしちまったな。たしか。




「俺の、センパイ?」


「…っあぁ!」


「亜希にはまだ言うなよ」



亜希には。


親父の口から真実を知って欲しい。



真実って程じゃないけど。



だけど…。



『他人』の口から真実を聞き取る事。



『本人』の口から真実を聞き取る事。



―――どちらの方が嬉しいだろう?



他人の噂話のような、そんな口調で亜希には知って欲しくない。



「おう」


壱も、それを分かっているだろう。




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