【短】卑怯者
そんなこんなで、
付き合うことになったけど。
手を繋いで一緒に帰ったり、
公園のベンチでキスしたり、
それから…………
なーんて甘いことは、
全くと言って良いほどなくて。
何もないまま一ヶ月も経つと、
だんだん不安になってきて。
不安な気持ちを、正直にぶつけた。
そしたら。
「不安にさせて、悪かった」
申し訳なさそうに言って、
優しく頭を撫でてくれて。
触れられた部分から、隼人の
温もりが伝わってきて。
――――この人のことが、好き。
改めてそう感じると同時に……
我慢していた涙が、一気に溢れ出した。
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