はぐるま時計
「 あっ!」
ズリッ
「――ったぁ…」
急いで走ってたから石につまずいてしまった。
左足からズキズキとした痛みが伝わってきて目が潤む。
高校生になってまでも
何かあるたび泣きそうになるのは、私の悪い癖だ。
「 うぅ…」
痛む左足を庇いながら立ち上がると目の前に
見たこともない古びた洋館が建っていた。
「あれ?
道、間違えちゃったのかなぁ。」
初めてみる洋館に驚いて道を間違えたのかと思った
でも
辺りを見回しても見馴れたいつもの道で変わっているのは
そこに洋館が建っていることだけだ。
この道は小さい頃からよく通る道…
こんな洋館なんてなかったのに…
いや、あるはずがないんだ
だって此所は昨日まで何もない空き地だったんだから。