アイ・マイ上司とlove☆days
そうして電話を終えると、移ろいゆく車外の景色を一瞥していた…。
周りの素敵さをいくら憧れても、やっぱり私は私でしかないし。
こんなドジでおバカな私を、輝は好きだと言ってくれたんだから…――
大勢の人が続々と会社へと向かう中に、本来は自分も身を置いているけど。
もうすぐで始業時間を迎えるのに、まだ会社へ向かっていないなんてね…。
「ありがとうございます、2840円です」
「ありがとうございました」
暫くして停車したタクシー内で清算を終えると、荷物を持って退出した私。
やって来たのは…というより、自分の住処であるアパートに戻って来たのだ。
自分の部屋の前へ到着すれば、そのまま鍵をさして解錠後に入室した。
「はぁ・・・」
両腕に掛けていた荷物を置くと、出て来たのは重苦しい溜め息で。
1人の部屋に帰るって、どれだけ寂しい事なんだろう――…
オリエンタルな香りが消え失せた今は、自分のフルーツの香りが漂う室内。
真夜中まで触れていた温もりが、この部屋に帰るだけで薄れてしまうから。
すぐにでも会いたくて、また抱きしめて貰いたくて仕方ないよ・・・