アイ・マイ上司とlove☆days
自分の事と話に夢中になりすぎて全く気づかなかったとは、やはりおバカだ…。
「んー、何となくアイツの策略に落ちたみたいで腑に落ちないけど。
素直になるのは良いコトだって、私に教えてくれたのは鈴ちゃんだから。
ウソがつけない貴方がいくら誤魔化してみてもね、彼にはバレバレなのよ?
稲葉さんのトコに早く行きなさい…、ウソはついちゃダメ――」
「美紀さん・・・」
そう皮肉るコトが出来るのは、やっぱり2人の間で結ばれた強い絆のお陰だよね?
だけどそんな彼女の忠言と衝撃の事実にも、素直に頷けない自分がいた…。
「良い?私みたいに“意地を張っていたらダメ”よ。
大切な物を自分で失ってしまう事くらい、辛い事はないんだから。
以上!経験者はぜーんぶ語ったからね?
ついでに稲葉さん、ある子を呼び出し中だから資料室に行ってみたら?」
「っ、はい…、ありがとう…ございました!」
そんな面倒すぎる後輩を窘められるのは、やっぱり先輩の美紀さんだからこそ。
ふふっと笑いながら手を振る彼女に一礼をして、私は給湯室をあとにした・・・
会社に来たら仕事をするのが、お給料を貰う対価だとしても。
一世一代ともいえる岐路に立たされた私は、今日だけはソレを放棄させて欲しい。
自分で守らなきゃと言わなかったのに…、隠す事が却って彼を傷つけていたのだから。
今すぐに輝のところへ向かって、伝えなきゃいけない事があるの…――