皮肉と剣と、そして俺


まるで全てお見通しだとばかりに口元を吊り上げる魔術師。
実際、全てを知っているのだろう。


マコトは一向に口を開こうとはせず、立ち尽くしている。


「貴方を元の世界に返すためには、今日の夜に、この軍基地に居る必要があるのです。
作戦に参加すれば、ここに戻って来られるのは何時になるか分からない」


「…意味が全く分からないが」

「それを今から説明するのです」


魔術師は再び顎をさすり、ナオトの瞳を探るように見据える。

それにどういった意図があるのか、ナオトには理解しかねたが、睨まれたら睨み返すのがある種ポリシーとも言えるナオトは魔術師の片目しか見えない漆黒の瞳を見つめる。

魔術師は、それから一度頷くと話を再開した。

魔術師の話はこうだ。


中佐が魔術師のもとを訪れたのは約10日前。
会うなり、
「貴様は時空の狭間を開けるのであろう」
と問い詰められたと言う。






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