皮肉と剣と、そして俺
月光が激しく降り注いだ夜、エイダとナオトは出会った。
お互い初めは、"皮肉しか言わない嫌な野郎"。
それ位にしか思っていなかっただろうが、武術を身に付けていたナオトを見初めて軍に推薦したのは、紛れもないエイダだった。
無事に軍の試験に受かったナオトは、こちらの世界に来てからは軍人として生活をしていた。
生活が変わっていくにつれて、ナオトはエイダを"いざという時に頼りになる悪魔"くらいには信頼を寄せていたのに、突如この仕打ちだ。
ナオトは裏切られた気分で、怒りは絶頂だった。
「お前は熱くなりすぎる節がある。
だから外したのだ」
「あ?」
「要するにお前は必要無いと言っている。邪魔なやつをわざわざ戦場に連れて行く馬鹿があるか?」
依然として机上に積まれた書類から眼を上げようとはせず、下らないと言わんばかりに突き放す。